2023-05-16


Q&A 音が小刻みにゆれる


Q 音が小刻みにゆれる

Trbを始めて5年になります。最近、ロングトーンをしていると音が小刻みに揺れるようになってしまいました。 ”よけいな所に力が入っている”と言われたので、力を抜くようにすると、おなかの支えまでが抜けてしまいます。 一体、どこに原因があるのか、また、どのような方法で直せるのか教えて下さい。

A リラックスするのが大切


   音が小刻みにゆれる原因は、横隔膜や腹筋の震え(痙攣)による息の乱れ、唇や唇の周りの筋肉の震え(痙攣)によるアンブシュアの乱れが考えられます。鏡を見ながらロングトーンをして口の周りが震えていないかを確認します。震えていなければ息の震えでしょう。しかしほとんどの場合これらが重なり合って音が揺れてしまいます。 
   この震えは体のどこかに余分な力が入っているからです。しかし余分な力が入っている場所が分かったとしても自分の意思でその震えを止めることはできません。リラックスするのが大切です。

 「リラックスしよう。」と言われてもどうしてもどこかに力が入ってしまうのが現状です。そこでリラックスできるための息使い、音の出し方を解説しましょう。

まず声で「アー」と歌ってみましょう。声はまっすぐに伸び震えていないと思います。この時点で声が震える人は紙上でのアドヴァイスの範囲を超えているので実際に音を聞かなければ分かりません。
椅子に座り膝を抱くように前屈みになり、腰のベルトの辺りに体の内側から圧力がかかるように息を吸い、呼吸します(この圧力は演奏中いつもかかるように注意する)。この時上半身が自然に上下に動くように注意します。
M.M.=60で8拍で息を最大まで吸い、次の8拍で息を止め、最後の8拍で息を最大まで吐き出します。これを何度も繰り返します(譜例1)。
楽器を持たずにアンブシュアを作りffで息を「フー」と吐きます。片腕を前に真直ぐ延ばし手のひらに息がしっかり当たるのを意識します。
楽器を持ちアンブシュアを作り(音を出す感じで)音を出さずに息だけで1ポジションと6ポジション(F管やGes管付の楽器はF管やGes管を引く)を交互に息を吹き込みます。pp~ffまでの息使いでします。特に6ポジションでの抵抗を意識しその抵抗以上の息を入れすぎないようにします。また、常に腰のベルトの辺りに体の内側から圧力がかかっているのを意識します。息は膨らましたり、減推したりせずまっすぐ延ばし、息がなくなったら無理せず止めます(ffでは2、3拍延びれば十分)。常にアンブシュアを作っているのを忘れずに(譜例2)。
譜例3はアンブシュアに余分な力を入れずにリラックスした良い音で楽器を鳴らすための練習です。音を出す時も1~4までの息使いを意識します。音量は無理せず自然に鳴らせる大きさ、mp位で練習します。最初は音色だけに注意し、音程やスライディングなど気にせずにリラックスして「だらだら」吹いた方が良い結果が出ます。できるようになったら(約1週間でできます)音程やスライディングなど一つずつ注意し、いろいろな倍音で(無理せず自然に鳴らせる範囲)練習します(譜例4)。



 以上の練習を毎日30分ずつウォームアップをかねてすると音の揺れは直るでしょう。また、何の問題のない人もこの練習を十分すれば、豊かで自由な音色が得られるでしょう。
 ほかに質問、相談のある人は○○ページに載せた私の連絡先まで手紙を下さい。
    バス・トロンボーン奏者 沼田 司


ホームページ掲載の為の加筆、訂正。
2)での、(この圧力は演奏中いつもかかるように注意する)の部分で、私の今現在の考えでは、演奏中に圧力はいつもはかかりません。体の動きは息を吸う時、吐く時、どちらも大きくため息をついた時と完全に一緒です。私の当時の考えと今は違っています。自分自身成長していっています。